大人の女性としてきちんと知っておきたいのが、冠婚葬祭にあたってのマナーです。マナーを知らずに失礼にあたる行動に出てしまったり、恥ずかしい思いをすることはできるだけないようにしたいもの。
今回はそんな冠婚葬祭の中でも、気を付けるべきことや意外と知らないことが多い、「葬式」に関する一般常識やマナーを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
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葬式とは葬儀+告別式のこと
葬式とは、一般的には葬儀と告別式のことで、通夜以外の儀式をさします。なお故人を見送る儀式の流れは、納棺→通夜→葬儀→告別式→火葬→納骨→四十九日となります。
通夜とは…
遺族や近親者、親しい友人などが集まり、故人との最後の別れを惜しむ儀式のことです。一般的には亡くなった翌日に通夜を行いますが、はっきりとした決まりはありません。なお本来は、特に親しい関係でなければ通夜には出席しないものでしたが、最近はそうとも限りません。
葬儀とは…
故人を葬る儀式のことで、遺族や近親者、特に親しい関係者だけで行われます。親族や特に親しい人以外は、通常は葬儀には参加しませんが、葬儀と告別式が続けて行われる場合は、故人との関係性にかかわらず両方参加します。
告別式とは…
故人と関係のある人が、別れを告げる儀式です。親族や親しい人だけではなく、仕事で関係があった人や地域の人、何かしらの縁があった人が別れの挨拶をするための場として設けられています。
最低限おさえておきたい葬式に関するマナーとは?
葬式に関係するマナーは意外と多いものですが、ここでは最低限おさえておきたいものをピックアップしてみました。
不幸の知らせを受けた時のマナー
亡くなったのが近親者や親しい友人の場合はすぐに駆けつけましょう。いつ、どこで亡くなり、どこに行けばいいかなどを確認し、喪服を持参し地味な服装で行きましょう。普通の間柄であれば、通夜または告別式のいずれかに参加するのが一般的です。
●通夜も葬儀も参列できない場合は…?
不祝儀袋に香典を入れて、現金書留で郵送しましょう。そして可能であれば、弔電を打ちましょう。なお弔電は葬儀の前日までに、葬儀の会場または自宅に届けましょう。
身だしなみのマナー
遺族や近親者の場合は、正式礼装でのぞみます。一般会葬者は準礼装や略礼装にします。
女性の喪服は洋装であれば黒で無地のワンピース、スーツ、アンサンブルが正式礼装となります。透け感や光沢感のある生地は避け、肌の露出はひかえましょう。スカートはひざ丈で、床に座ったときなども考慮しましょう。
遺族の服装例
一般会葬者の服装例
【小物について】
小物もできる限り黒のものを使いましょう。黒い靴に黒またはナチュラルカラーのストッキング、ハンカチも黒やダークカラー、白無地を用意してください。ストールやコートなどの防寒具も、黒またはグレーなどの地味な色にしましょう。
①アクセサリー
ネックレスの場合は白やグレー、黒のパールや光沢のないオニキスなどの一連のもの、またイヤリングは一粒タイプを選びましょう。指輪は結婚指輪のみOKです。なお二連や三連などのネックレスはしないようにしましょう。
②靴
靴は黒いプレーンなパンプスが無難です。光沢感のあるものやヘビなど虫類のレザーは避けましょう。ブーツやサンダルなどもふさわしくありません。
③バッグ
小型で光沢感のないシンプルなものを選びましょう。生地は布がベストですが、光沢感や派手な装飾がなければ革製でもいいでしょう。
【ヘアメイク・ネイルについて】
かつては喪服を身に着ける際に口紅を使わないしきたりがありましたが、今はむしろノーメイクの方が失礼とされるため、控えめにメイクをしましょう。また髪形はロングヘアであればまとめ、ヘアアクセサリーはできるだけつけず、つける場合も落ち着いた色でシンプルなものを使いましょう。
そしてネイルは、事前に落としておきましょう。ジェルですぐに落とせない場合は黒いレースの手袋をつけるなどの配慮があるといいでしょう。
香典のマナー
香典は、一般的に通夜か告別式のいずれかに用意し、不祝儀袋で包みます。香典はふくさや風呂敷に包んで持っていきましょう。
【金額について】
香典の金額に決まりはなく、故人との関係やお金を包む側の立場、その地域の慣習などにより変わりますが、一般的に近親者や親しい友人などには多めに包みます。
友人や仕事関係者には5,000円~1万円、親は5~10万円、祖父母やその他の親戚は1万円~3万円です。周りの人たちと相談して決めるのもいいでしょう。(地域や文化によって異なる場合があります)
●香典を辞退したいと言われたら…?
前もって「ご厚志を辞退します」「香典を辞退します」と言われている場合でも、実際には受け取るケースもあるため、念のため香典は持参した方がいいでしょう。なお「供物や供花を辞退します」と言われた場合は、香典は贈って問題ありません。
●新札を使ってもいいの…?
かつては不幸のために用意していたように思わせることから、香典に新札はNGとされていましたが、今では特に問題ありません。新札に抵抗があるのなら、折り目をつけて入れるのもいいでしょう。またお札は向きを揃えて入れましょう。
【香典袋について】
表書きは宗教により異なりますが、どの宗教でも使える「御霊前」にしておくのが無難です。薄墨で丁寧に書きましょう。また弔事では水引は結び切りを使い、のしはつけません。中袋は表に金額、裏に住所や名前を書きます。
仏式における表書きは「御香料」「御香典」「御霊前」としますが、浄土真宗は通夜や葬儀でも「御仏前」とします。
神式における表書きは「御榊料(おんさかきりょう)」「御玉串料(おたまぐしりょう)」「御神前」「御霊前」とします。
●夫婦で参列する場合、贈り主名は…?
夫婦で参列する場合でも、一般的には香典に世帯主の名前を記載します。夫が世帯主であれば、妻だけが参列するとしても夫の名前にします。ただ、夫婦のいずれも故人と親しい場合、夫婦連名にしたり、それぞれの名前で別々に包むこともあります。
●夫の代理で参列する場合は…?
夫の代理で香典を持参する場合、香典に妻の名前は書かず、夫の名前の隣に「内」と記載します。これにより、夫の代理で参列したということが分かります。
葬式当日のマナー
会場には開始の10分前までには着くようにし、コートや大きな荷物はクロークに預けてください。
受付では、「このたびはまことにご愁傷さまでございます。心からお悔やみ申し上げます」などとお悔やみの言葉を伝えることを忘れないようにしましょう。そして香典を渡し、記帳します。なお通夜にも出ている場合には、記帳だけします。また受付がない場合、香典は拝礼時に祭壇に供えましょう。
式場では案内が特にない場合、自分の立場をわきまえて控えめな席に着くようにしましょう。この時に喪主や遺族にお悔やみを述べるのは避け、友人や知人に会っても会話は控え、軽く会釈をする程度にとどめましょう。また儀式の間はむやみに席を立たないようにしましょう。
葬儀の流れの例
【仏式の拝礼マナー】
仏式では抹香で焼香をしますが、抹香は右手の親指と人差し指、中指で軽くつまんで目の高さまで上げてからおろし、香炉にくべる動作を2回ほど繰り返します(宗派により異なります)。
【神式の拝礼マナー】
まとめ
ここまで、一般的な葬式に関するマナーや一般常識を紹介してきましたが、地域や文化により異なる場合も多く、紹介してきたことに当てはまらないケースもあります。また最近は家族やごく親しい人だけが集まる家族葬も増えていますし、ホームパーティーのように自由でアットホームな雰囲気で行われる場合もあります。
ただどんな形式やスタイルの葬式でも、故人を弔う気持ちには変わりはありません。参列するにあたっては、遺族や喪主に対してはもちろんのこと、葬式に参列するすべての人への配慮を忘れずに、その場にふさわしい行動をとりましょう。
※参照書籍・URL
オールカラー 困ったときにすぐひける マナー大事典 Kindle版
最新ビジュアル版 冠婚葬祭お金とマナー大事典 主婦の友実用No.1シリーズ(主婦の友社)
30代なら知っておきたい! 『冠婚葬祭』『作法』タブー Kindle版
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知っておくべき結婚式 お葬式のマナー: 非常識な人と言われないための冠婚葬祭の知識 Kindle版
通夜、葬儀、告別式のマナーは万全? Kindle版
お葬式の雑学 ~意外と知らない「死」のマナー~ (扶桑社新書)
葬儀・法要・相続 マナーと手続きのすべて (実用No.1シリーズ)(主婦の友社)
https://www.koekisha.co.jp/chiebukuro/difference02/
https://www.osohshiki.jp/column/article/1553/