徳島県から広める!「障害児が生まれても絶望しない社会へ」 株式会社ハビリテ代表・太田恵理子

徳島県から広める!「障害児が生まれても絶望しない社会へ」 株式会社ハビリテ代表・太田恵理子

life style「困難こそが人生を輝かせてくれる」を日本中に広める使命

――太田さんは現在育児はどのように?

約3年前に離婚しまして、基本的に息子はパパの家にいて、親権もパパが持っています。私は二日に一回パパの家に行って息子と過ごすというような、ちょっと変わった家族です。私は息子と過ごすときは外食や出来合いのものを出してしまうことも多いのですが、パパはお弁当を作ったり息子の身の回りの世話を積極的にしています。息子は大切ですが私はどうしても仕事を優先してしまうことがあるので、パパには頭が上がりませんね(笑)。

――親権が父親にあるというのも、珍しいですね。

そうかもしれないですね。離婚の原因は二人の性格の不一致のようなものなのですが、離婚調停のときに最初はお互いに親権を譲らなくて。でもあるときふと、「なんで私は親権がほしいんだろう」と考えてみると、単に世間体のためだけだということに気付いたんです。私は典型的な不注意人間で、郵便物を溜めてしまったりするところがあるので(笑)、息子の健やかな成長を目的にしたら、絶対にパパが親権を持っているほうがいいと思いました。だから親権はパパにお願いしようと決めたら、すごく楽になりました。

――今後の展望を教えてください。

「障害児が生まれても絶望しない社会にする」のが一番叶えたいことです。ただ、ちょっと前までは「障害にまつわる絶望を希望に変える」と言っていたんですね。変わったきっかけがありまして、弊社ではパキスタン人の方を雇用しているのですが、入社時に会社の理念を説明しながら、なぜ「障害児が生まれること=絶望」と定義しているんだろうという疑問が自分の中で湧いたんです。それで、彼女に「パキスタンでは障害児が生まれたらみんなはどう受け止めるの?」と聞いたところ、パキスタンはイスラム教なので、「障害は神様からのギフトだと教えられていて、障害児が生まれたら、その家族はそれを光栄なことだと思うんだよ」と言っていて。その人生はいろんな困難が多く待ち受けているけれど、困難こそが人生を輝かせてくれると神様から教えられていると聞いて、すごくいいなと思いました。この考え方を日本で当たり前にしたいと強く思っています。

障害児が生まれても絶望しない社会になり、インクルーシブな環境で子どもたちが育ったら、優しい社会になる。それを実現するために私にできることは、保育と医療が融合した保育園をどんどん作っていくことと、私のこの考えを広く啓蒙することで、それが私の使命だと思っています。

「私の仕事は何かを考えたときに、どんどん外に発信したり、いろんな人と話して新しいアイディアをもらうことだと思ったので、今年の2月からは定時出社するのをやめました。移動の時間をカットして、創造的な活動に使おうと」

――最後に日々大切にしている考え方を教えてください。

パッと思いついたのは、「人間万事塞翁が馬」。あとは、「笑う門には福来る」とか、つまりはなんとかなるさ、ということですね。人生必ず最後は良い方向に行くしかないんだから、命さえあればなんとでもなるとは思っています。やると決めさえすれば、やれないことはない。

先ほど、息子が水頭症だと宣告されたのが、堕胎できるギリギリの22週と5日だったとお伝えしたんですけど、実は病院側の都合で検診が一週間伸びてこの日取りになったんです。もし病院が一週間前に予定通りエコーをセッティングしていたら、私は残りの5日間で堕ろすか産むかを選択せざるを得ないという現実を突きつけられていました。あの時に見た脳のない画像があまりにもショックだったので、もしかしたら堕胎を選んでいたかもしれません。だから、息子が生まれてくれて、今はもうしゃべれるし走っているし、生きていてくれることで、私自身も生かされていると思っています。

「使命」という字は「命を使う」と書きますが、与えられた自分自身の命そのものといえる時間を使って何をするだろうかと考えたときに、悔いなく生きたいですし、やりたいことを全部やって生き抜きたい。なので、私は常に命を燃やして輝き続けて、目の前の人の心に火をつけていきたいと思って、生きています!

 

事業、そして日本の未来に対する熱い思いが詰まったお話は、聞いているこちらもつい興奮してしまいました。太田さんの活動が、全国に広まるよう、期待しています!

■株式会社ハビリテの公式サイトはこちら
https://habilite.jp/

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