新しい職業の選択肢を創り、女性のキャリアを広げたい ハリウッドブロウリフト創業者・福井仁美

新しい職業の選択肢を創り、女性のキャリアを広げたい ハリウッドブロウリフト創業者・福井仁美

work style「言葉で行列を作る」約9年間のリポーター人生で得たもの

――今では10,000店舗以上で導入されているそうですが、どのように定着していったのでしょうか?

まずコロナ禍がいい風を吹かせてくれました。マスクをしているので口元が隠れるのでリップを買わなくなり、しかも目元が目立つから眉毛を整えないと違和感があるというムードが生まれ、やってみたいと思ってくれる人が出始めました。そこで、眉毛に悩みがある方、更にはアートメイクには手が出ないと思っている層の方に、気軽に試していただけたのがHBLでした。

最初は「眉毛が変でどうにかできますか?」というふわっとしたお悩みで受けてくださる方が多いのですが、たった40分から1時間くらいの施術時間で簡単に治せるんです。今まで眉毛を整えるには描くか剃るか切るくらいしか選択肢がなかったと思うのですが、HBLはストレートパーマのような概念で、毛流れを変えるという新しい技術です。流れを整えたり位置を変えるだけでナチュラルでキレイになるという選択肢ができて、「顔が変わった」「人生が変わった」と感動していただき、リピーターになってくれたり、口コミで広がっていきました。

「施術者の講習をするときも、『今日からブロウアーティストという新しい肩書を得たから、ぜひ仕事を聞かれたときは名乗ってください』と伝えて、それに共感してくれた人たちが情熱を持って施術をしてくれたので、お客さんにも一気に広がっていったのかなと思います」

――ご自身のビジネスの原点になっている経験はありますか?

芸能で約9年間、言葉で行列を作る仕事をしてきたことです。毎週生放送があるのですが、企業の広報担当者は命をかけて、私がしゃべる一言のために準備をしているんです。そして生放送が終わった日の夜や次の日に、人が並んでいる状態を作らなきゃいけない。そういう責任を負ってきたので、どうやったら人の心に刺さって人を動かせるかということを考え続け、自分をしごき続けた経験が今に生きていると思います。テレビを見たり本を読んで研究もしましたし、どこかへ出かけるときも「なんでここに来たんだろう」ということをずっと考えながら生きていましたから。

もう一つは、ビジネス番組のナビゲーターをしていたことです。それまでは社長をやっている人はかっこよくて充実していてキラキラした像として見えていたのですが、番組を通して企業の内部に迫ったり社長のビジョンや創業秘話を聞いて、裏にある覚悟や決断や孤独を知り、積み重ねの上に今のきらびやかな姿があるということを実感しました。当時は起業しようというつもりはまだなかったのですが、そういった泥臭い努力が芸能界という厳しい業界にいる自分ともリンクする部分があって共感しましたし、会社員をしていたら出会えなかったような人たちの言葉を聞き、刺激を受けたのはいい経験でした。

1 2 3 4

ranking